作品詳細
鎌倉時代に新しい仏教を唱えた思想家・親鸞(善信)の若き日の愛と行動を描く。三國連太郎、原作・脚本・監督作。構想から15年をかけ、ライフワークとして描きだした渾身の傑作。誰よりもやさしく、誰よりも深く、誰よりも激しく生きた人間・親鸞聖人を描く一大巨編。1987年第40回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。
1185年、京では連日の様に平家の残党狩りが行なわれていた。人々の苦しみをなんとかしたいと願った彼は、修業の為に比叡山に入山するが、どうしてもその教えに確修を得られず山をおりてしまった。やがて親鸞(森山潤久)は、旧い仏教を否定する法然に出会い己れの道を確信する。法然の興した浄土宗は、「宗教は万人のものである」という、当時としては斬新なものだった。この新しい念仏の教えは飢饉や重税に喘ぐ民衆の間に広がっていく。だが、二人は流罪となってしまう。親鸞は越後へ流されるが、やがて念仏弾圧の手が伸びてくる。念仏を信仰する親鸞、彼の妻・恵信(大楠道代)、三人の子供たちは、越後から関東に向かう人買いの集めた群れにまじって越後脱出を計った。苦難の末たどりついた関東上野の国は、人買いの阿藤太(ガッツ石松)のふれこみとは裏腹に地獄の様だった。親鸞は懸命に布教活動を始め…。