作品詳細
菊田一夫原作、NHK連続放送劇「由起子」を映画化。音楽は主題歌の作曲をしている古関裕而が担当。憂い多き乙女に訪れた、つきせぬ青春の哀歓を描くロマン大作。美しい十和田湖や瀬戸の小島を背景に、愛しき人を求めてさすらう、薄幸の主人公の激しい恋を描く。監督は「ひめゆりの塔」「ここに泉あり」の今井正。
自殺を決意して、十和田湖のほとり近くにきた矢田部由起子は、画家尾高恭助に救われて、ふたりは恭助の宿で互いの身の上を語り明かした。恭助は、二十二年前、三十歳の時小児麻痺にかかり、それ以来不自由な朝夕を送り迎えていたが、妻は廃人同様の夫を嫌い、つい最近恭助の弟子の若い画学生とともに姿を消していた。十和田湖は、恭助が新婚のころ妻とともに訪れたことのある思い出の地だった。由起子は、幼い頃母に死なれた私生児で、伯母のやす子にひきとられたが、常に邪魔者扱いだった…。