作品詳細
花嫁はなぜ、新婚旅行の列車から姿を消したのか、月光の断崖に二人だけの天国への盃!
切々胸をうつ激情のメロドラマ!
両親の確執ゆえにひたむきな恋を遂げられぬ男女が、一筋の恋を貫く為、新婚旅行の列車より逃れ、家を逃れて、ついには死を選び、潮騒の佐渡ヶ島に結ばれるまでの波瀾万丈の物語!
幼い時から母のいないままに美しく成長した志賀南海子は、二十才になり、大造船会社社長の御曹子、原との婚約もきまったので、父の国紀から初めて実母に会いに行くことを許された。母の柳子は十八年前、父に背き南海子と弟隆介を置いて小此木の許に去った人だった。期待と夢とに胸をふくらませて瞼の母の家である小此木邸を訪れた南海子は、想像していた母とはあまりにかけ離れた派手好みの柳子を発見し、二人の間に大きな溝があるのを意識して失望せざるを得なかった。