作品詳細
のちに作られた歌舞伎十八番の『勧進帳』とは異なり、荒唐無稽でユニークな味わいの作品。橋之助(現・芝翫)の弁慶、錦之助の義経、彌十郎の斎藤次、歌六の富樫ほかで。
舞台は安宅の関、兄頼朝に追われた義経主従が山伏に姿を変えやって来る。関守の富樫左衛門と斎藤次祐家が詮議をするところへ遅れて駆け付けた武蔵坊弁慶。弁慶はお馴染みの“勧進帳の読み上げ”や“義経打擲(ちょうちゃく)”で一行の疑いを晴らし通過を許される。なおも縄に掛けられる弁慶だが、義経たちが去ったのを見計らうと縄を切り、番卒達の首を取って天水桶に投げ込むと金剛杖で芋を洗うように掻き回すのだった。
(2011年/平成23年1月・新橋演舞場)