作品詳細
「三番叟」には様々な種類がありますが、もともとは天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を祈る儀式として行われたものでした。これを顔見世や正月、また劇場の新築開場の折に舞って興行の成功を祈ったのが、歌舞伎における「三番叟物」の始まりです。「寿式三番叟」「種蒔三番叟」「操三番叟」などが有名ですが、なかでも遊楽の場所廓を舞台にした「廓三番叟」は江戸文化が爛熟期を迎えた化政時代に生まれた、洒落っ気たっぷりの三番叟です。
翁に当たるのが傾城、千歳が新造、そして三番叟が幇間(太鼓持)という案配。傾城が新造、幇間を従えて登場し荘重に舞い始め、やがてあとの二人が絡み廓遊びのさまざまを踊り、めでたく正月の舞台を舞い納めるとても砕けた趣向です。時蔵(現・萬壽)の傾城、孝太郎の新造、歌昇(現・又五郎)の太鼓持で。
(2000年/平成12年1月・歌舞伎座)
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