作品詳細
菊村到原作、芥川賞受賞作「硫黄島」の同名映画化で八住利雄が脚色し、鬼才、宇野重吉が満々たる野心を持って「戦争と人間」のテーマに取り組む凄絶の異色戦争巨篇。宇野監督に適役は彼以外にないとまで言わしめた大坂志郎が意欲ある演技をする他、小高雄二、芦川いづみの青春スターや、多彩豪華な演技陣が参加。
戦後六年、人々の脳裏には、まだ生々しい戦争の悲惨な爪跡が残っていた。家を焼かれ、両親を失い、友を失った悲しみが…しかし人々は、明日への希望を抱きながら、小さな灯を守って細々と生きていた。東亜新聞社の社会部に勤める新米記者、武村均もそんななかの一人であった。世の男がしているように一杯の酒に慰安を求めて、いつも行きつけの飲屋"のんき"に顔を出した。そこで、一人の不思議な男を知った。名を片桐正俊というその男は、「記事にして貰えませんか」と言って、凄惨極まる話をしだした…。