作品詳細
秋も盛りで紅葉が目に鮮やかな信濃国・戸隠山中、ここへやってきたのは従者を従えた余吾将軍・平維茂。紅葉を堪能し、館へ戻ろうとするところへ侍女を従えた美しい更科の前が現れ、維茂主従を呼び止めて酒宴を開き共に紅葉を愛でようと勧める。維茂は更科の前たちに勧められるまま盃を傾け、やがて更科の前は艶やかに舞を舞い始める。酒に酔いうたた寝を始めた維茂たちが眠り始めるのを確かめると、更科たちは様相を一変し怪しさを増して姿を消して行くのだった。実は更科の前たちは戸隠山に棲む鬼女で、維茂たちを喰らわんとしていたのである。
(2006年/平成18年9月・歌舞伎座)