作品詳細
無駄な抵抗はやめろ、と誰かが言う。私の気持ちを挫こうとして。抵抗は、やめない。まだ無駄と決まったわけじゃない。
「運命」をテーマにした前川知大×世田谷パブリックシアターによる4年ぶりの新作。
古代ギリシャの叙事詩、ホメロスの「オデュッセイア」を原典とした新たなスケールのストーリーに挑戦した2019年の『終わりのない』に続き、今回前川が選んだテーマは、ホメロスの後に登場した古代ギリシャ悲劇。ソポクレスの「オイディプス王」に代表されるように、ギリシャ悲劇の大テーマである「運命」を扱う。
多彩なキャストが集結。イキウメ公演ほか数々の前川作品に出演し独自の存在感を発揮する池谷のぶえ、2018年『ゲゲゲの先生へ』以来5年ぶりの前川作品出演となる松雪泰子、イキウメ公演のほか『終わりのない』から続けての出演となる清水葉月。また今回が前川作品初出演となる渡邊圭祐、穂志もえか。そして、非現実的な世界もリアリティ溢れる演技で体現し、前川作品には欠かせない劇団「イキウメ」の俳優、安井順平、浜田信也、盛隆二、森下創、大窪人衛が脇を固める。
<あらすじ>
その駅は半年前に電車が停まらなくなった。どの電車も通過するだけ。住民は困惑しながらも、隣の駅まで行くなり、他の交通手段を使うなりして日常を守っていた。駅ビルは寂れ、駅前の広場は活気を失った。
占い師として活躍していた桜(松雪泰子)は地元に戻ってカウンセラーとして再出発する。クライアントとして現れたのは、同級生の芽衣(池谷のぶえ)だった。
芽衣は、かつて桜に言われた言葉に強く影響を受けていた。その言葉が自分の性格と人生を決定づけ、苦しんでいると言う。あれは予言であり、呪いだったと。
駅前広場で始まる対話は、次第に芽衣を取り巻く奇妙な運命を明らかにしていく。
幼い頃の父の態度、叔父との関係、予言を避けるためにした選択、母の残した手紙、芽衣の入れ込むホストの出生の秘密。叔父が探偵まで雇い、芽衣を監視していたこと。
二人は、芽衣を苦しめているものが何なのか、そして芽衣の心に深く刺さった桜の予言をどうするべきなのか、考える。
広場では、関係者たちが二人の会話に聞き耳を立てている。
※本編終了後には、作・演出の前川知大、出演の池谷のぶえ、渡邊圭祐のインタビューも放送!
(2023年11月11日~26日 世田谷パブリックシアター他)