作品詳細
複雑な男女の心理を描く怪談噺
富本節の師匠・豊志賀は、20歳ほど年の離れた弟子の新吉と恋仲となりますが、顔に腫れ物ができる病にかかり、醜さを増す自分に焦りと不安を募らせます。新吉と若い娘お久の仲を勘ぐっては嫉妬に狂い、豊志賀の病は重くなるばかり。一方、その看病に疲れ果てた新吉は、お久と逃げる決心をしますが、そのとき、燭台の灯りがフッと消え…。
江戸から明治にかけて活躍し、“落語中興の祖”と称される名人・三遊亭円朝の人情噺を脚色した作品で、長い因果話のなかから、若い男に執着する女の哀れと凄みにあふれる「豊志賀の死」の件を独立させています。死してなお姿を現す豊志賀…。男と女の複雑な心情を描く怪談噺、夏の風物詩にご期待ください。
(2021年/令和3年8月・歌舞伎座)