地味でオタクなミコ、ジュンジュン、セフ、クーカイの4人は、大学内でも目立たない存在でオンラインでのクイズ大会を主催していた。ある夜、クイズ大会にバスケ部で学内の人気者・ゼイビアが間違って入室してくる。ゼイビアは彼らをバカにして退室するが、後日、大学の大事な課題で優等生のミコに押し付けられた落第寸前のパートナーが、あのゼイビアだった! 初めは衝突していたミコとゼイビアだったが、徐々にお互いのことを理解していく二人。ある時、ミコはゼイビアのことが好きになっていることに気が付く。本当は互いを想っているはずなのに、すれ違う気持ち…はたして、二人の関係は? そして二人はリアルに出会えるのか!?
「そばにいる」――キャラクターたちがたびたび交わすこの言葉は、コロナ禍でより胸を打つ。オンライン生活を強いられ、大学内で“オタク”にくくられるミコと仲間たちは順応しているように見える。一方、アクティブなゼイビアには窮屈な日々だが、誰かとつながっていたい気持ちは全員に共通。その“誰か”が家族か友人か、ミコとゼイビアのように初めての感情を引き起こす相手かという違いだけだ。そしてモニター越しでも他者と喜怒哀楽が分かち合えること、やがてそれでは足りずに会いたいと願うようになり、直接触れ合える幸せを知る。そんなオンラインならではの若者たちの感情の高まりを、キャラクターたちのやりとりを通して体感できる本作。それを表現するキャストたちの表情や目線、顔や体の向け方、声のトーンや会話の間といった芝居が繊細かつ秀逸で、作品世界に引き込まれること間違いない。
ミコとゼイビアが、互いの存在によって見せる変化は必見。以前からキツネのぬいぐるみを抱いて眠っていたり、キャラメルミルクティが好物だったりと、かわいらしい面を持っていたミコ。恋愛を避け、優等生としての堅実な人生プランを歩んでいた。しかしそこにゼイビアの存在が加わると、とろける笑顔と軽口が飛び出して、心のガードが解けていくのがわかる。一方、ゼイビアも大好きなバスケットボール以外では、恋人に対してさえ熱中することはなかった。けれどミコと話すごとに、軽薄とも言えた笑顔が優しくて甘いものになっていく。さらに大学の課題である恋の詩とふたりの関係がリンクしていたり、ゼイビアが歌で想いを表現するなど、作品全体の糖度はかなり高め。そして同時に、自身の変化にとまどうふたりが涙のしょっぱさも味あわせてくれるので、視聴者の感情も大忙しだ。