本作の大きな魅力の一つは、ヒロインの姜似のドラマチックな転生と復讐劇。近年、“転生”というテーマは、中国の人気ドラマの核となることが多くなったが、「似錦～華めく運命～」ではこのテーマに、過去の因縁、愛と復讐、そして運命をかけた戦いが描かれ、従来の転生ドラマに更なる展開を加え、面白さを引き出した。前世では他人に翻弄される弱々しい娘だった姜似が、転生後は運命を変える救世主へと変貌を遂げる……。自分や大切な家族を傷つけた相手に復讐を誓い、悪辣な親族の裏をかき、ついには香水店を創業する立派な女主人となるまで、彼女が一歩一歩展開する鮮やかな復讐劇に、スカッとさせられること間違いなしだ。

　前世では南疆の地で出会った余七と愛し合っていた姜似。しかし、思いがけず彼の矢に射られ、命を落とすこととなった姜似は、そのまま10年前に転生し、まだ彼女のことを知らない余七に助けられ、新たな人生を歩み始めることになる。かつて自分の命を奪った余七を遠ざけようとする姜似と、敵国・南鳥の間者を調べる赤羽騎首領として、南鳥聖女の印を持つ姜似を怪しむ余七は、互いに疑念を抱きながらも、幾度となく共に危機を助け合ううちに、新たに芽生えた愛を信じ始める。果たして、姜似は人生の書き換えと共に、余七との巡り合わせも、やり直すことができるのか？波乱に満ちた愛と運命の行方に、最後までドキドキさせられる。

　前世での悲惨な人生を姜似がやり直したことで、姜似と関わる女性たちの人生にも、変化が生まれていく。前世では、姜似の友人でありながら、安国公府の李崇易の愛人になることで、卑しい商人の身から抜け出そうとした巧香舗店主の孫巧娘、姜似の従姉妹で、嫁ぎ先の長興侯府の曹興昱に虐待され続けた姜倩、男子を産まないことから嫁ぎ先で厳しく当たられ、やがて世を去ることとなる姜似の姉の姜依など、彼女たちを襲うはずだった悲劇の数々は、姜似の助言によって、見事に回避されていく。封建的な厳しい時代の中で、女性同士が支え合い、絆を深め、自立を目指して力強く前進していく姿は、多くの視聴者に深い感動を与え、このドラマの重要な見どころに一つとなっている。

　周国の皇子に生まれながらも、長公主の策略で不吉の子とされ、辺境の地に送られたのち、軍人として勇気と戦略に富む人物へと成長した余七。前世では愛する姜似を手にかけてしまうが、姜似の転生によって再会し、彼女と共に新たな人生を歩むことになる。そんな複雑な背景と、素顔が見えないミステリアスさを合わせもつキャラクターを、ジャン・ワンイーが好演。任務を遂行する冷酷な表情と、姜似への思い溢れる甘い笑顔とのギャップが、ファンの心をしっかりとキャッチしただけでなく、ジン・ティエンとの美しく感情あふれるキスシーンは、SNS上でも話題をよび、このドラマのハイライトとして、高く評価された。また、ロマンティックな演技だけでなく、姜似を巡って恋の火花を散らす都城司の通判・甄珩とのコミカルなやりとりでは、抜群のコメディセンスを発揮しており、彼の新たな魅力が発見できるのも、このドラマの必見ポイントとなっている。

　ドラマの衣装や造形は宋代を舞台としており、「風起洛陽〜神都に翔ける蒼き炎〜」や、「倚天屠龍記」などの人気時代劇を手掛けてきたスタイリストのホウ・ユンイーが担当。簡素で優雅な家庭服から、華やかで複雑な宮廷服まで、古代絵画の衣装などを参考に、キャラクターの個性に合わせてアレンジし、再現している。さらに、チャン・イーモウ監督と長年タッグを組み、長春映画祭最優秀編集賞を受賞した映像編集者のドゥー・ユエンを制作チームに迎え、作品のクオリティを高めたことも話題となった。

　主演の2人と共に活躍する共演者も、豪華な顔ぶれが勢ぞろいしている本作品。姜似の兄、姜湛には『満江紅マンジャンホン』「柳舟恋記～皇子とかりそめの花嫁」のジャン・チー、姜似の父、姜安誠を「大奉打更人―正義の銅鑼と王朝の闇―」のユエ・ヤン、そして景明帝四皇子の斉王・郁璋役で「無憂渡〜瞳に映った真実の愛〜」のシュエン・イエンが登場する。さらに特別出演枠では、映画をメインに活躍するグオ・タオや、武侠作品で知られるホアン・イーが景明帝と長公主を演じ、物語を大いに盛り上げていく。錚々たるキャストに加えて、このドラマで一躍人気者になった“二牛”役のワンコは、シャオ・ジャン主演の『ジェイド・ダイナスティ　破壊王、降臨。』でデビューし、数々のヒットドラマに出演するベテラン犬なのだとか。気になる方は、ぜひ本編で要チェックを！