1930年代の上海、会計学校に通っていたウェイ・ルオライ(ワン・イーボー)は、共産党の本拠地である江西省出身という理由で卒業証書がなかなか授与されず、様々なアルバイトをしながら生計を立てていた。上海に残る最後のチャンスである国民党の中央銀行の採用試験で能力や判断力を高く評価されるが、またしても江西省出身という理由で採用が見送りに。しかしウェイ・ルオライは中央銀行の上級顧問であるシェン・トゥーナン(ワン・ヤン)の目に留まることに成功、彼の助手となる。そこでウェイ・ルオライは金融業界の腐敗と闇を目の当たりにする。迷いと苦悩の中、シェン・トゥーナンの妹であり共産党員であるシェン・ジンジェン(リー・チン)と出会い、ウェイ・ルオライは自らの信念と行動を見つめ直す決断を迫られていく…。
・[NEW]2024/11/8 「追風者~金融界の夜明けへ~」第1話終了後に、メイキング映像を放送!〔11月10日(日)午後10:00~、11月16日(土)午前6:00~〕
・[NEW]2024/11/8 「追風者~金融界の夜明けへ~」特設ページ公開!
再生回数23億回突破。スリリングな展開と豪華キャストの白熱の演技が魅力の見応え200%の注目作。2024年3月に中国で放送&配信された本作は同月の熱度ランキングにおいて現代ドラマTOPの好成績を記録!再生回数は23億回を突破し(※)、現在でもその記録を更新し続けている。「陳情令」ワン・イーボー、「慶余年~麒麟児、現る~」リー・チン、ワン・ヤンといった豪華キャストたちの存在感のみならず、スリリングな展開に魅了される注目ドラマ。(※映画・ドラマのデータベース「猫眼専業版」より2024/8/1時点)
麗しくも近づきがたいクールで優雅な御曹司--『陳情令』や『風起洛陽~神都に翔ける蒼き炎~』などでそんなイメージのあるワン・イーボーにとって大きな挑戦となった本作の役・魏若来は、カネもコネもない、あるのは驚異的な計算力と記憶力だけという、優しくて真面目で気弱な地方出身の青年だ。1930年代の上海、混乱に満ちた時代と場所で、子うさぎのように弱々しかった青年が、政治と経済の戦いの中で謀略と暴力にさらされながら鍛えられ、国を動かす金融家となっていく姿をイーボーが体当たりで演じている。国民党が強い上海で、対立する共産党の根拠地・江西省出身というだけで、不当に差別され能力を認めてもらえない悔しさをこらえる悲しげなまなざし、謀略に巻き込まれ、驚きと恐怖で息も絶え絶えになる姿、師となる沈図南に認められ、ほっとした時の笑顔、自分の暮らす貧民街の住人たちとすごす時の飾らない青年ぶりなどを見ると、はげましたい!応援したい!ご飯を食べさせてあげたい!!(若来は貧しく忙しいので欠食気味)気持ちになるはず。そんな彼が文字通り、血と泥にまみれ、いくつもの修羅場をくぐりぬけ、するどいまなざしのたくましい若手金融家に覚醒する瞬間は必見だ。
本作において、カリスマ性を発揮するのが沈家の兄妹、沈図南と沈近真。テーラーが仕立てたオーダーメイドのしゃれたスーツやワンピーに身を包み、ドイツ留学もしているエリート富裕層で、兄の図南は国民党の中央銀行の上級顧問、妹の近真は軍需工場で兵器の開発をするエンジニアだ。しかし近真は裏では兄のもつ情報を盗み、捕まった仲間を逃すためには狙撃手にもなる、共産党・地下組織のメンバーとして暗躍していた。国民党と共産党として対立するものの、兄妹はともに国と民を思う高い志、強い意志と行動力、クールな判断力をあわせもち、若来と深くかかわっていく。図南の理念や志に共鳴した若来が、図南を謀略から守るためには命すら惜しまず、そんな若来に図南がほだされて二人の思いがつながる場面には胸が熱くなる。一方、近真もさまざまな縁で若来と親しくなっていくが、兄の図南すら黙らせる勝気でアグレッシブな近真に若来はタジタジ。それでも二人で大晦日の花火を見ながら願ったことが、「戦乱がなくなりますように」という同じ思いだったと知り、笑顔をかわすシーンには心が温まる。図南を演じるのは、演技派のイケオジ俳優、ワン・ヤン。そして近真を中国時代劇ファンにはおなじみのリー・チンが演じている。
若来、図南、近真をとりまく重要人物3役をご紹介。1人目は、表の顔は衣料品店のテイラー、裏の顔は共産党・地下組織のリーダー的存在で、近真と共に任務を行う徐諾。愛想のいいテイラーの顔と、裏社会のボスのようなすごみ、そして意外にも料理上手というかわいげもあり、ダンディなイケおじいさん好きにはたまらない!演じているのは「大明皇妃 -Empress of the Ming-」のワン・シュエチーだ。2人目は、図南の秘書の黄従匀。非常に優秀、かつ忠実な部下で、図南への敬愛(偏愛?)は相当のもの。図南に引き立てられる若来にわかりやすく嫉妬し、意地悪をするのもご愛敬。北京電影学院出身のソン・シュアイが演じている。そして3人目が、かなりかわいそうな立場ながら共感しづらい悪役、警備司令部の捜査隊隊長・林樵松。共産党員(もしくは疑わしい者)をつかまえては拷問し、証拠の隠滅やねつ造も平気で行う悪徳捜査官だが、近真に騙され、上の圧力に翻弄され、捜査に失敗しては厳しい罰を受けることも。「星漢燦爛」のチャン・ティエンヤンが憎々しげに演じている。
本作の舞台となる1930年代の上海といえば、「君、花海棠の紅にあらず」や「紳士探偵L 魔都・上海の事件録」などでも描かれたように、東洋と西洋のいりまじったノスタルジックで華やかな街の様子が印象的で、建築物や人々の服装もドラマの見どころの一つだ。本作で印象に残るのは、図南や若来が務める中央銀行の瀟洒な西洋式の石造りの建物や、路面電車が走る道路、若来が暮らす狭くて汚いが活気に満ちた七宝街など。これらは主に上海郊外にある撮影所・上海影視楽园(上海フィルムパーク/見学可)で撮影されたとのこと。美術指導の呉嘉葵は本作で上海電視節白玉蘭賞にノミネートされた。また、図南や近真、若来たちのトラディショナルな洋装、図南の妻・蘇辞書が着るあでやかなチャイナドレス、徐諾が裏の仕事の時に着こなす長袍など、衣装も見ごたえあり。
1912年に革命家の孫文により中華民国が成立。清朝は滅亡したが、その後の1930年代の中国では蒋介石の国民党、毛沢東の共産党、軍閥(地方で力をもつ軍人の派閥)、中国を狙う外国勢力や彼らと結託する者などが争い、国は混乱の中にあった。国民党と共産党は、国を強くし、民を富ませたいという同じ目的がありながら、そのためには自分たちこそが政治と経済を掌握する必要があると互いをつぶすために戦い、そのどちらでもない庶民も巻き込まれていた。このドラマでは国民党=図南、共産党=近真、庶民=若来と考えるとわかりやすいが、高い志をもつ図南・近真兄妹と巻き込まれる若来たち庶民の経済格差を見ると、複雑な心境にもなる。図南と若来にはそれぞれモデルとなった実在した金融家がいるといわれているが、もう一人、電話で図南に指示を出す国民党の幹部の宋という男性、宋子文という政治家・実業家がモデルだといわれている。彼こそが映画「宋家の三姉妹」の宋靄齢、慶齢、美齢の兄弟だ。
魏若来(ウェイ・ルオライ)は生計のため、裏社会の銭少良(チェン・シャオリャン)から危険な仕事を請け負っていた。ある日、住み込み先の家主である周(ジョウ)に頼まれ株のアドバイスをするが、沈図南(シェン・トゥーナン)の策により大損を被る。一方、共産党地下組織に所属する沈近真(シェン・ジンジェン)は同志を救出すべく護送車を襲撃、しかし林樵松(リン・チャオソン)らの待ち伏せに遭い失敗する。その際に魏若来は逃走する沈近真を偶然助けることに。
沈図南が用意した中央銀行の“特別な試験”に魏若来は合格するが、出身地や兄の身分から共産党との繋がりを疑われ、見送りにされてしまう。“近隣の老人”の助言を受けた魏若来は、沈図南に彼の計画を見抜いたことを伝える。一方、沈近真は共産党を裏切った顧倫(グー・ルン)の暗殺任務を引き受ける。
沈図南に能力を評価された魏若来は助手として採用され、中央銀行への出入りが許可される。沈図南は民間の通商銀行の買収に動き出し、通商銀行のトップである張鳴泉(ジャン・ミンチュエン)と、江浙商会の会長である虞世清(ユー・シーチン)に揺さぶりをかける。沈近真は共産党を裏切った顧倫を暗殺し、顧倫に裏切られた李晟達(リー・シェンダー)は林樵松に拷問を受ける。
李晟達は共産党を裏切り、金塊の引き渡し任務を担う“孤星”の情報を林樵松に売る。“孤星”との接触を試みた沈近真は異変に気付き、“孤星”を逃がしたことで林樵松の部下に疑われる。逃走中に負傷した“孤星”は、弟の魏若来に金塊の引き渡しを託す。