ある日、バート(カート)は車の故障で足止めを食らっているブライス(レンツ)と出会う。親切心からブライスに声をかけたバートは彼を自分の家に泊めることに。アクシデントにイラついていたブライスは酒を飲み、バートの前で奔放にふるまい、酔いつぶれてしまう。翌朝、ブライスはバートが幼いころからひとりで生活してきたことを知る。ブライスも裕福ではあっても、共働きの両親とは子供のころから離れ離れに生活していた。正反対ながらも常に孤独を抱えてきた2人は、いつの間にか打ち解けていた。修理が終わった車で帰ろうとするブライスは、バートに「マニラに来ないか?」と言葉をかける。美しく刺激的ながらも、寂しさを秘めたブライスのことが頭から離れなくなったバートは、人生を変える決意をする。そうしてマニラで再会したブライスは、ファンに囲まれる大人気モデルだった。始めは付き人だと勘違いされたバートだが、モデルをやってみないかと声を掛けられ…。
金銭的不自由のない家庭に生まれ、トップモデルとして名声も得ているブライス。気の置けない親友とともに、大自然の中で慎ましく暮らすバート。どちらも“豊か”なものに囲まれているはずが、どこか“孤独”で“家族”のぬくもりを求めていた。そんなふたりが出会えば共鳴せざるを得ず、お互いが心の空白を満たし合うほど大切な存在になると、より“孤独”に敏感になってしまう。本作はブライスとバートが惹かれ合う姿によって、ないものねだりをする人間の未熟さや、未熟だからこそ夢を追う勇気が奮い立つ人間のたくましさを見せられる。さらにそれらを経験した先に、自分にとっての“Home=居場所”はどこで、何で、そして誰なのかを見つけることができるのだと知る。また毎話のエンディングでは、性に関する「フィリピン青年組織の定義」を紹介。ブライスやバートたちを取り巻く世界を通して、人生の導きをくれるのだ。
それぞれの魅力を持ちながらも自分に自信がなく、不安や焦りといった闇を抱えているキャラクターたち。しかし愛する相手に引き出される笑顔は、全員が光り輝いている。ブライスはバートが純粋に喜びを表すとき、無自覚でとろけた極上の笑顔に。いつもひとりで食べていたハンバーガーが、バートと食べるとよりおいしく「好き」だと自覚する表情は必見だ。一方のバートはブライスが本音をさらけ出したとき、うっとりと夢中になったり、時には包み込むような優しい笑顔を向ける。またジョシュはバートにいじわるをすることもあるが、ブライスには好意が詰まった無邪気な笑顔を見せている。エドワードもバートを前にすると、好奇心全開の生き生きとした笑顔が飛び出す。そしてベスティは、バートはもちろん誰のこともありのままを受け入れ、豪快な笑顔で幸せな気持ちにする。思わず一時停止したくなるほど魅力的な笑顔が満載だ。