作品詳細
「素襖落」は同名の狂言を義太夫、長唄掛合いのユーモラスな歌舞伎舞踊にした作品。富十郎の太郎冠者に、時蔵の姫御寮、彦三郎の大名で。
伊勢詣でを思い立った大名は、前から同道しようと約束していた伯父のもとへ、太郎冠者を迎えに行かせる。しかし伯父は留守で、代わりに出迎えた姫御寮は太郎冠者に門出の盃を振舞う。酒を飲んで上機嫌の太郎冠者が「那須の与市の物語り」を舞ってみせる。ここから長唄との掛合いになり、那須与市、義経、源平両軍の有様、扇の的を射落とす場面までを、酔態を見せながら演じ分けるのが見せ場となっている。後半は、酔態の太郎冠者が大名たちと素襖を巡ってユーモラスなやりとりを繰り広げる。
(2002年/平成14年5月・歌舞伎座)