作品詳細
時は室町時代。館では華姫(鶴松)が退屈しのぎに庭掃きの三郎次(虎之介)を呼び出し、流行り唄を披露させる。華姫は三郎次が自分に想いを寄せていることを知ると、綾糸で出来た綾の鼓を三郎次に渡し「この鼓が鳴ったら願いを叶えてやろう」と言う。鳴るはずもない綾の鼓を日々打ち続け、泣き暮れる三郎次を見て生きていれば同じ歳の子がいる元は白拍子の秋篠(扇雀)は、死んだ我が子の代わりにと鼓の技を伝授する。やがて3年の月日が経ち、立派な青年に成長した三郎次に対する秋篠の気持ちにも変化が現れ…。恋い慕う華姫に翻弄される三郎次と、彼を見守る秋篠の人間模様がドラマチックに描き出された有吉佐和子作の舞踊劇。
(2022年/令和4年10月・平成中村座)