作品詳細
「本能寺の変」の後、光秀一家の悲劇を描いた時代物。
主君小田春永を本能寺で討ち果たした、武智光秀。しかし息子の謀反を快く思わない母皐月が尼ヶ崎の庵室へ籠ると、そこへ光秀の妻操が、息子十次郎、その許嫁の初菊を伴って訪れます。一方、宿敵久吉を追って庵室に現れた光秀は、久吉が潜んでいると思われる一間に竹槍を繰り出しますが…。
織田信長を討った明智光秀の「本能寺の変」を素材に描かれた時代物の傑作。光秀が最期を遂げるまでの13日間を、一日一段という形で構成した原作の十段目に当たり、「太十」と通称される人気の場面です。光秀とその家族に焦点を当て、戦乱に生きる親子の情愛と悲壮感が胸を打つ、重厚な義太夫狂言の傑作をご覧いただきます。
(2021年/令和3年4月・歌舞伎座)