作品詳細
忠義のための悲劇、重厚な義太夫狂言の名場面を歌舞伎座さよなら公演から。
流罪となった菅丞相(菅原道真)の嫡子菅秀才を巡り、武部源蔵と松王丸の忠義と悲劇が描かれたこの作品は、人物それぞれの微細な心理が随所に表現される。秀才の首を討つよう命じられた源蔵がと苦悩を語る場面に始まり、松王が寺子の顔を一人一人検分する「寺子改め」、最大の見せ場「首実検」、後半は松王丸が我が子の死を聞かされ、さらに弟の死を思い大泣きに泣くところまで、緊迫した見せ場が続く。松王丸に幸四郎(現・白鸚)、女房千代に玉三郎、源蔵に仁左衛門、女房戸浪に勘三郎という絶好の配役で。
(2010年/平成22年4月・歌舞伎座)