作品詳細
叶わぬのに隠しきれない恋の思い。戦国の世に、悲運の女性お市の方へ愛情を寄せる弥市と、木下藤吉郎(のちの秀吉)の二役を勘三郎が演じわける。谷崎潤一郎の小説を、宇野信夫脚本で舞台化した新歌舞伎。
織田信長の妹お市の方は、近江の浅井長政に嫁ぎ、三人の娘と世継ぎの男子をもうけたが、兄によって夫を滅ぼされ、故郷の清洲城にて鬱々とした日々を過ごしていた。慰めは近江から付いて来た揉み療治と諸芸にたくみな盲目の弥市だった。一方破竹の勢いで出世する木下藤吉郎がお市の方に熱烈な思いを寄せるが、夫と息子の仇である藤吉郎を、お市が許すはずはなかった…。
(2005年/平成17年12月歌舞伎座)