作品詳細
身分違いの母と息子の出会いと別れ。涙なくしては見られない「子別れ狂言」。
重の井は五代目歌右衛門以来の成駒屋の家の芸。武家に生まれた調姫は、未だ幼いうちに政略結婚のために親と別れ遠い国に行かねばなりません。姫と同じ年ごろの三吉も武家に生まれましたが、訳あって浪人した父とも離れ、馬子としてひとりで生計を立てなければならない身の上。親の都合でこうむる運命ですが、子供はそれをどうすることもできません。せっかくめぐり合った三吉の母重の井は、忠義を優先し親子の情を押さえ込んでしまう。
のどかな道中双六の場面が悲しい親子の別れへとすすみ涙をさそう、義太夫狂言らしい作品です。重の井に福助、三吉に小吉、調姫に亀蔵の長女片岡葵という配役で。
(2008年/平成20年10月・歌舞伎座)