作品詳細
海に捧げられた美女は、海底で無垢な魂と出逢う。海底にある宮殿琅玕殿(ろうかんでん)の公子(海老蔵)と、地上の美女(玉三郎)の恋を描いた物語。耽美的な台詞と幻想味溢れる世界が絵巻物を広げるように展開する泉鏡花の戯曲です。
海底の宮殿琅玕殿の公子のもとへ、地上の美女が輿入れのために向かっている。公子は博士や沖の僧都と語り合いながらこの様子を眺め、その美しい姿に嘆息する。やがて宮殿に到着した美女に、公子は優しい言葉をかけ美酒でもてなす。すると美女はその幸福感を語りつつも地上への未練を訴え続ける為、公子は不機嫌となり、美女がもはや人間ではなくなったことを告げた。美女は深く悲しみ、水底の世界を受け入れようとしないので、公子は次第に怒り、美女を斬ろうと剣を向ける…。
(2009年/平成21年7月・歌舞伎座)