作品詳細
親を慕う子狐の深い情愛
吉野山中の川連法眼の館へ匿われている義経のもとに、家臣の佐藤忠信が訪ねてきます。義経は、伏見稲荷で預けた静御前の安否を尋ねますが、忠信は覚えがない様子。そこへ静とともに、もうひとりの忠信が到着したことが告げられます。実は、静の供をしていた忠信は、義経が静に与えた初音の鼓の皮に用いられた狐夫婦の子。両親を慕い、忠信の姿に化けて付き添ってきたのでした。その孝心に心打たれた義経は…。「四の切」の通称で知られる本作は、「狐詞」と呼ばれる独特なせりふ回しや、狐衣裳への早替りなど、本物の忠信と狐忠信の演じ分けがみどころの人気の場面です。親子の情愛が描かれる心温まる物語をご堪能ください。
(2020年/令和2年11月・歌舞伎座)