作品詳細
小野春道の屋敷では、家宝である小野小町が歌を認めた「ことわりや」の短冊が盗み出された上、息女錦の前は、髪の毛が逆立つという奇病にかかり、婚約者文屋豊秀との婚礼が先延ばしになっていた。そこへ文屋豊秀の家臣粂寺弾正が来訪する。手にした毛抜が踊り出すことなどから、姫の奇病の真相を突き止めた弾正は、悪人から小町の短冊も取り戻し、意気揚々と引き上げていくのだった。
「歌舞伎十八番」の中でも、特に元禄時代の歌舞伎のおおらかな雰囲気にあふれる人気演目。科学的な作用を奇抜な発達により展開される物語は大きな特徴で、毛抜や小柄が動く様子を見入る際の弾正の見得など見せ場も多い。
(2016年/平成28年11月・歌舞伎座)