作品詳細
雪の降り積もる夜、入谷の蕎麦屋にやって来たのは御家人崩れの直次郎(菊五郎)。悪事を重ね、追われる身となった直次郎は、江戸を離れる前に恋仲の三千歳(時蔵)にひと目逢おうと身を潜めている。入った蕎麦屋で三千歳のいる大口屋の寮の様子を聞くと、先に帰った二人組からも同じことを聞かれたと聞き思案する。そこへ按摩の丈賀(東蔵)も店を訪れ、蕎麦屋夫婦と丈賀の療治中の花魁草の三千歳が恋人の直次郎に会えず病を患っているとの世間話を耳にし…。
粋な小悪党と傾城の色模様を描く河竹黙阿弥の傑作。幕切れまで江戸情緒たっぷりに菊五郎が魅せる。
(2021年/令和3年3月・歌舞伎座)