作品詳細
息子の将来を思う父の一途な心。江戸の天保年間。旗本の勝小吉は、若い頃からの放蕩生活のため、今も無役の身。今日は秀才と評判の高い息子の麟太郎のため、御役につこうと向島の料理茶屋で上役の大久保上野介を招いての宴席の準備をしていた。そこへ芸者の八重次が現れるが、座敷に出るのを嫌がる様子。実は以前、小吉と八重次は深い仲だったが、駆け落ちの末、捨てられた八重次は恨みを持っていたのだ。息子のためにと懇願され、八重次は大久保をはじめ横柄な役人たちをもてなすが…。
幕末前夜の江戸の世相を活き活きと描いた真山青果の作品をお楽しみください。
(2015年/平成27年6月・歌舞伎座)