作品詳細
闇夜の鉄路をばく進する急行列車内に、次々起こる怪事件!第一の女は奪われた!第二の女は殺されかけた!第三の女は自殺を図っている!
ある夜更け、いま中都市の駅を出発する敦賀行急行列車。国鉄労働組合の代表として会議に出席する機関手の幸田が、大勢の見送りに囲まれて乗る。発車間際に危うく飛び乗った洋装の娘は筧順子であった。彼女は満員の客車の中をしきりに尋ね顔で、誰かを探して歩いている。彼女のもつ白革のハンドバッグを、油断のない目で見送る男は川尻金造。乗務車掌の三木と近藤が検札に回ってくる。明日の引揚船で帰る父と兄を迎えるのだという二人の少年薫と次郎は無賃乗車である。その頃幸田は、列車連結のところで、倒れた若い娘順子を助け、客車の中へ抱えこんだ。乗客の中から老医師があらわれ診察にかかる背後からノドを締めつけられ…。