作品詳細
大佛次郎作の新歌舞伎。幕末の江戸を舞台に、人の世に嫌気がさした男がひょんなことから全てを捨てて人生をやり直す。表からは見えない人の心の裏側を、たぬきの化かしあいにたとえてリアルに描いたちょっと皮肉な味わいの人間喜劇。三津五郎の金兵衛、福助のお染、勘九郎(十八世勘三郎)の太鼓持蝶作で。
江戸深川の埋立地。柏屋金兵衛は、婿養子の身でありながら放蕩三昧の末、流行のコレラで死ぬが、なんと火葬場で息を吹き返してしまう。一度は家に帰ろうとする金兵衛だが、家付き娘の本妻に頭の上がらない家を捨て、妾のお染と新たな人生を送ろうと考え直す。しかしお染の家にいってみるとそこにはなんと情夫がいて…。
(2004年/平成16年12月・歌舞伎座)