作品詳細
平成20年10月15日、東大寺において催された奉納大歌舞伎は松本幸四郎(現・白鸚)が弁慶を演じて一千回目となる記念公演として大きな話題を呼んだ。『勧進帳』はよく知られた源義経と武蔵坊弁慶の逸話だが、義経一行が平重衡によって焼かれた東大寺復興のために寄付を集める勧進の僧に姿を変えている事から、東大寺に極めてゆかりの深い作品。公演当夜は折りしも満月。巨大な大仏殿の前に設えられた舞台には五千人の観客が詰め掛け、東大寺の御坊による「散華」のあと、「勧進帳」が始まると空に月が昇り、御開帳された大仏を仰ぎながらの幻想的な舞台が繰り広げられた。(2008年/平成20年10月15日・東大寺大仏殿前)