作品詳細
憎き源氏を呪い続ける、気高い官女の恐ろしくも哀しい物語。
平家物語で有名な「那須与市の扇の的」の後日談を描いた岡本綺堂の新歌舞伎。壇ノ浦の合戦後、その浜辺には甲羅が怒った人面のように見える蟹が多く集まり「平家蟹」と呼ばれるようになった。
舞台は壇ノ浦に近い浜辺。屋島の戦の折、扇の的を立てた小舟に乗り那須与市を招いた官女・玉蟲(たまむし)は生来気位が高く気性の激しい性格で、今なお源氏を呪う日々。しかし妹の玉琴は源氏方の那須与五郎(与市の弟)と末を誓うほどの仲になっていた。それを知った玉蟲は二人を祝う振りをして毒酒を飲ませて殺害する…。七世芝翫の玉蟲、魁春の玉琴、橋之助(現・芝翫)の与五郎、左團次の雨月で。
(2005年/平成17年9月・歌舞伎座)
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