作品詳細
京都近郊の八幡の里。南与兵衛(菊之助)は、父の後妻となった義母・お幸(東蔵)と女房・お早(雀右衛門)と暮らしている。仲秋の名月を明日に控え、お幸とお早が放生会の準備をしているところへ、幼い頃に養子に出されたお幸の実子、相撲取りの濡髪長五郎(吉右衛門)が訪れる。実は長五郎は主筋への義理で人を殺めてしまい、母に一目会おうとやってきたのだった。そこへ代官にとり立てられ、十次兵衛を名乗ることを許された与兵衛が帰って来た。お幸とお早とともに喜び合うが、与兵衛に命じられた代官としての初仕事は、長五郎を捕縛することで…。
初世吉右衛門(俳名 秀山)ゆかりの本作は「秀山ゆかりの狂言」として上演されました。親子の情愛に感じ入る、心温まる義太夫狂言の名作を。
(2020年/令和2年9月・歌舞伎座)