作品詳細
討入りの決意を胸に秘めた内蔵助と瑤泉院の心の交流を描いた名場面。討入り前夜、大石内蔵助が主君の未亡人・瑤泉院に暇乞いに向かう場面を描く。飛び立つ思いで蔵之助に面会する瑤泉院に対し、周囲を警戒する内蔵助は、思い出話や浪士たちの苦しい暮らしぶりを話すばかりで一向に本心を明かさない。そんな内蔵助に落胆し、夫の無念を思い内蔵助の態度を責める瑤泉院と、本心を隠して応対する内蔵助の姿が心理的な台詞劇として展開し最大の見どころになっている。
吉右衛門の内蔵助に鴈治郎(坂田藤十郎)の瑤泉院で、真山青果作品らしい台詞劇の面白さを堪能できる名作をお届けする。
(2002年/平成14年4月・歌舞伎座)