作品詳細
戊辰戦争に敗れ厳しい窮乏の中にあった明治3年の長岡藩で「一時の飢えを凌ぐより将来を担う人材の養成を」と百俵の救援米で学校を建設した小林虎三郎の凛とした決意を描いた作品。作者は山本有三。
戦に敗れ、移り変わる世の中に馴染めず希望をなくした長岡藩士たちの悲惨な状況を、伊藤喜平太とその妻そでとの会話、伊賀善内の娘に起こる事件をとおして描いていく。虎三郎はその苦しみを知ったうえで米百俵の大きな意味を説く。目先の欲に囚われない強い信念と、その血を吐くような言葉に人々は心打たれ次第に心を開いていく。吉右衛門の虎三郎に、橋之助(現・芝翫)の喜平太、中村歌昇(現・又五郎)の善内ほかで。
(2001年/平成13年9月・歌舞伎座)