作品詳細
江戸で一番の捕り物名人と評判が高い三河町の半七親分は、吉原辰伊勢の寮に幽霊がでるという噂を聞き、入谷まで出張ってくる。辰伊勢の寮には花魁の誰袖(たがそで)が出養生に来ていて、そこへ按摩の徳寿が呼ばれて治療に通ってくる。目は見えないが、勘が人一倍はたらくのを自慢にしている徳寿が、この場にいるはずもない、もう一人若い娘が座っていると言い出して、がぜん怪しい雰囲気に…。
岡本綺堂の半七捕物帳「春の雪解」を宇野信夫が脚本化し、河竹黙阿弥の『雪暮夜入谷畦道』を踏まえた「三千歳直侍」のパロディ。十二世團十郎が半七と按摩の徳寿を早替りで演じ、最後に半七が事件を解説する洒落た趣向の構成。
(2002年/平成14年5月・歌舞伎座)