作品詳細
亡霊となった伯父にとり殺される…宇野信夫作の傑作怪談劇。
遊び人虎鰒の太十には竜達という伯父がいた。竜達は寺の後家をだまして住職となった女たらしの強欲者。ある日、女犯の罪で牢から出た竜達を、太十が家に引き取る。竜達が隠し持っている大金を狙う腹だ。しかしなかなか目的を話せない事に苛立つ太十は、竜達を毒殺して川へ投げ捨てる。亡霊となった竜達は女房おいちをとり殺しやがて太十も川の中へと誘われて…。
強欲者同士のやりとりから、太十夫婦が伯父を殺し自ら滅びるまでの一部始終が、深川八幡宮の宵宮を背景につづられる。深川の裏町の風景、巧みに描かれる市井の暮しや蒸し暑い夏の夜の季節感も見どころだ。十七世勘三郎の竜達、吉右衛門の太十、児太郎(現・福助)のおとら、七世芝翫のおいちで。
(1981年/昭和56年9月・歌舞伎座)
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