作品詳細
松本清張のベストセラーを橋本忍と山田洋次が脚色。野村芳太郎監督で、北陸を舞台に人間の孤独と悲しさをスリリングに描いた傑作。広告社に勤める憲一は、新婚7日目に金沢へ出張、そのまま消息を絶った。妻の禎子は金沢へ出掛け、単身調査に乗り出すが手がかりはつかめなかった。やがて憲一が広告社に勤める前に、巡査の風紀係だったことが判明し、事件はそれに絡んでいる模様。そして意外な事実が明るみになってくる。
禎子は新婚7日目に、社用で金沢へ旅立つ夫・鵜原憲一を上野駅まで送っていった。しかしそれが、禎子が夫の姿を見た最後になってしまった。憲一はある広告社の金沢出張所長だったが、結婚を機に東京本社に栄転となり、今度は後任の本多と事務引継ぎをするための金沢行きだった。11日の夜金沢を発ったということなのに、予定の12日をすぎても憲一は帰ってこなかった。会社で憲一の同僚を調査に派遣することになったので、禎子も同行することにした。しかし、憲一が金沢在任中に暮らしていたはずの下宿の所在さえ分からなかった。憲一が親しかったという室田耐火煉瓦の社長室田を訪ねた。室田も、夫人の佐知子も禎子を慰めてくれるだけで憲一の失踪については心当たりがないという。