作品詳細
『名人長二』に続く芝居噺シリーズ第2弾。三遊亭圓朝と古今亭志ん生の落語を原案に、今作も俳優豊原功補が企画、脚本、演出を手掛ける。主演は連続テレビドラマ「まんぷく」や「恋はつづくよどこまでも」など、数々のドラマ・映画に出演している注目の俳優、毎熊克哉。ヒロインには数々の映画に出演し、8月公開予定映画「ソワレ」では主演も務め、日本インディーズ映画界から出演オファーが絶えない芋生悠。御家人を追われた恨みを腹に持つ年若い兄妹に翻弄される人々の運命を描き出す。
親の因果で御家人崩れて 数える月日もどこへやら
風に吹かれてドブ板踏んで 気づきゃあこの世の吹き溜まり
幼い妹可愛さに 手に手を取ったは東海道
海に千年山に千年 憚りしらずの悪行重ね
泥にまみれたこの手を見れば 遠いあの日が涙に滲む
<あらすじ>
江戸時代の末期、弘化の三年というころのお話。徳川の直参、十万石のお大名である東城左近大夫氏勝(古山憲太郎)が、江戸から大阪へと物見遊で訪れたおり、道頓堀の日本橋を渡っている最中、一陣の風に父の形見の陣笠が吹き飛ばされ川に落ちてしまう。一艘の屋根船から拾い上げたは若く美しいお藤(芋生悠)という娘だった。名君と呼ばれる氏勝だったがひと目でお藤に惚れ込んでしまい側室に迎えることになる。お藤には元御家人の安三郎(毎熊克哉)という兄がいて、落ちぶれてヤクザまがいのその日暮らしをしている。因果応報とはこの事か、兄妹をこんな暮らしに落としめたのは何を隠そう氏勝の先代、氏家だった。兄妹にとって東城家はさしずめ親の敵。因果は皿の縁をくるくると回りだし、兄妹の戯れに全ての歯車が狂い出す。後家安とその妹、哀しい目をしたふたりに翻弄される人々の命運はいかに。
(2019年5月25日~6月4日 新宿・紀伊國屋ホール)